-005.みなさんが小さい時、何を読んでいましたか?

まずこれが表紙。この子が主人公の「親指小僧」です。 産まれた時に親指ほどしかサイズがなかったので、この名前になりました。
まずこれが表紙。この子が主人公の「親指小僧」です。 産まれた時に親指ほどしかサイズがなかったので、この名前になりました。

chocolatmag 読者の方はお子さんがいらっしゃる方も多いかと思います。
残念ながら子供がいない私としては、今の子供たちをテーマに書くことはちょっと難しいので、ちょっとそこから離れて自分が子供の頃に読んだ絵本とこのパリで再会した話を書きたいと思います。

さて、どうやって書こうかと思いあぐねながら日曜の朝にカフェで朝ごはんを食べていると、小さい子供達がママやパパの横でお気に入りの絵本を読んでいる姿に遭遇しました。絵本が好きなのは世界共通ですね。自分が子供の頃もそうでした。

カラフルな色使いやかわいい挿絵にいつも惹き込まれていたものです。

私の親は子供の成長に合わせて定期的にいろんな本を与えてくれていました。

幼稚園の頃はチャイクロや日本の昔話、小学生に上がると海外の童話が挿絵付きになった児童書。
女の子だったら誰でも憧れるシンデレラや白雪姫等の綺麗なドレスを着たプリンセスの話も大好きでしたが、実は大人になってみて一番記憶に残っているのは何故か「食べ物」が出てきたお話です。

赤ずきんちゃんがおばあちゃんへ届けようとした「ぶどう酒にパン」
マッチ売りの少女が夢に見た数々の温かい「ごちそう」
眠り姫が七人の小人の家にたどり着いた時に我慢できず一口づつ食べていた「何か」
白ばらと紅ばらがピカピカに磨いた鍋で暖炉で作った暖かそうな「スープ」
ラプンシェルのお母さんがどうしても食べたがった隣の魔女の庭に生えていた「ちしゃ」勇ましいちびの仕立て屋が物売りのおばあさんから買った鮮やかな「ジャム」
(でも何故かヘンゼルとグレーテルのお菓子の家には興味がなかったんですよね……。)
私が読んでいた本は特に挿絵が見事で、海外の食べ物ってこんなに美味しそうなんだ〜。

と遠い国に思いを馳せていたのだと思います。

そして気がつけば年月も過ぎ、そんな童話の事も思い出さなくなったある日、このパリのしかも自分の住んでいるアパートの目の前で小さかったあの頃の自分に出会う事になりました。

年に二回、私の住んでいる地域でかなり大きなブロカントがあります。
(ブロカントについては Takaki さんのコラムをクリック!)
アパートのドアを開けたらそこはブロカント状態で、プロから一般の人まで様々な物が出品されており、多くの人が訪れ賑わいを見せています。私も毎回楽しみにしており朝から見て回っているのですが、前回のブロカントの時にふと何の気なしに覗いたダンボールの中に一冊のボロボロになった絵本が無造作に入っていました。

「あれ?この絵って……あぁ!」

ここで出会った絵本こそ、私が小さい時に何度も何度も読み返し、見返した、私の中での食べ物話 No.1 のシャルル・ペロー『おやゆび小僧 (仏題:Le pochet poucet)』だったのです。しかも、私が読んだ本とまったく同じ挿絵で!

 

 

あんまりにも貧乏なので、子供達を山へ捨てようと相談しているシーン。
童話というものは民間伝承がベースになっているものも多く、

元々の原話は相当エグい内容らしいです。

今私たちが手に入れられるものは改版を経て比較的オブラートに包んだ

内容になっているらしいですが、それでもかなりの内容ですよね。
ちなみに小さい頃こういう暖炉と大きい鍋にも憧れてました!
そして今見返すと継の当て方がかわいいですね。色使いが違いますね〜。

 

 

子供達を山へ捨てたとたんお金が入り、後悔している夫婦。

「この料理をあの子達へ食べさせたい」と母親が嘆きます。
実は「親指小僧」は捨てられる前に両親が相談していた内容を盗み聞きしていて、

ポケットに小石を詰め込みそれを落としながら山へ入っていました。

その後その小石を頼りに無事家へ戻り、このごちそうをお腹いっぱい食べて

つかの間の幸せにひたります。
しかし、なんの料理だかさっぱり解りませんが、とにかく美味しそう!

 

 

が、しかし…お金はすぐ底をつき、またしても親に捨てられる悲劇がやってきます。
今回は小石が拾えなかったため、最後にもらったこのパンを小さくちぎって

目印にしようとします。
実はこれ、学校帰りに給食のパンで真似してやったことあります。

 

 

パンは小鳥に食べられてしまい、目印を失った「親指小僧」と

その兄弟達は山の中を彷徨います。

そしてたどり着いたのが人食い鬼の家。
そして、私の心をくすぐった何の肉だかわからないけどおいしそうな骨付き肉。

とにかく骨付き肉というのは憧れでした。
ちなみに一回の食事に羊まるまる一頭、牛半頭を食べる大食漢の鬼です。

 

 

その後いろいろありましたが、最終的に「親指小僧」は王様に仕える事となり

親兄弟と幸せに暮らし無事ハッピーエンド。
強引に端折ってしまいましたが、もしご興味がある方はぜひ読んでみてください。

ただし、この挿絵の日本語訳が現存しているかは…不明です。

(検索してみたのですが、ヒットしませんでした。すみません〜!)

ちなみに、私の「物語の中の食べ物への飽くなき追求」はその後も続き、「赤毛のアン」「大草原の小さな家シリーズ」や「足長おじさん」「家なき少女(ペリーヌ物語)」等たくさんの本を読んでは、海外の食べ物や文化に思いを馳せていきました。
特に「家なき少女(ペリーヌ物語)」はフランスが舞台のお話ということもあり、日本からパリに携えてきた程。

また機会があったらぜひこちらについてもお話出来たらと思います。

Column by 田中芽久実/Tanaka Megumi
十数年に渡る日本での馬車馬会社員生活に別れを告げ

「自分を見つめ直す」という名目のもと気の向くままに渡仏

ニート生活をしばらく楽しんだ後、今はとあるプロジェクトを進めるべく鋭意奮闘(?)中