-001.ペパーミントパパ


僕はペパーミントグリーンがきらい。 きらいと言うよりは何だあれ?

空のブルーと山のグリーンに挟まれた曖昧な色、ペパーミントグリーン。 ペパーミントチョコもどうしたもんかね?

僕の子供のころ、実家にはそのペパーミントグリーンの日曜大工品がたくさんあった。
僕の父は若いころ、父の兄が大工ということもあって、大工志願だった。でも結局の今は日曜大工専門だ。 
大きなペパーミントグリーンのペンキ缶を買ったのだろう。 父の作るテレビ台や靴箱はその曖昧な色で塗られていた。
まあ、その頃から趣味があわない。 パパのコラムという事なので、まずは父の話からスタートしよう。

僕のコラムでは、ある色の記憶にまつわる人や事柄について書き綴り、トータリーレインボー、人生虹色に感じられればいいと思っています。が、ペパーミントグリーンはいきなり曖昧なポジションですね。。。

 

男は大工。 という事で、草野球よりは金槌やのこぎりの使い方を教わるのが週末の行事。 キャッチボールとか記憶なし。僕は父に弟子入りした訳ではないのに、その指導はそこそこに厳しかった。 なかなか釘をまっすぐ打ち込むのは難しい。 それに時々痛い目にあう。  のこぎりもなかなか苦戦が多かった。。。
そんな父の押し入れはうまく改造されていて、”大人のおもちゃ箱”と呼ばれていて、大工道具、カメラ、ワープロ、絵の道具の類いが整頓されていた。 子供たちはそれを触っちゃいけない。
大工仕事はあまり気のりがしなかったけれど、その禁断のおもちゃ箱には興味があった。
よく連れて行かれるホームセンターも好きで、特定の機能の為に作られた道具の美しさには、子供ながらに心ときめいた。

いつだったか忘れたのだけれど、父の誕生日に何かを贈ろうとか思い立った。 
一人で、いつものホームセンターに行ってみた。 ただ、僕の予算で買えるものはあまりなくて、いろいろ迷ったあげく、先端が三角形に尖っている錐(きり 板材などに穴をあける工具。千枚通し)が、槍(やり)みたいでかっこいいと思って買った。
今更だけれど、電気ドリルを持っていた父には、錐などそんなに必要ではなかったのかもしれない。

22才になっても、まだ釘はまっすぐ打てなかったが、そんな僕も東京に就職する事となって、実家を出るときが訪れた。 母は僕に2人の子供ができても、充分な4人分の食器や家財道具一式を用意した。 それほど過保護な22才だった。
父の運転する1トントラックで全てを東京のアパートに運びこみインストール完了。 まったくのダメ男だ。。。
そして父は、その過保護君に、自分の道具箱から、もう使わなくなった道具をみつくろい、簡単な日曜大工セットを用意してくれた。 必要最低限なドライバーセット、金槌、携帯のこぎり、電気の配線部品から、半田ごてまで揃ってた。それらを新しく買ってきた道具箱に詰めてくれた。 いつものホームセンターの値札付きで。。。
「これで今日からおまえも一人前の男だ!」とは言わなかったが、ちょっと嬉しかった。 でも、あれ? 箱の中に見覚えのある、先端三角形の姿発見。。。
「これあげたやつやん!(この錐は僕があげたモノでしょ!)」とは言わなかったが、、、
それは、自分なりに新しい道具を買いそろえた今でも僕の道具箱にひっそりある。 やっぱりあまり使わないかも。
そういえば、僕の作ったアトリエは、まさしく父の禁断のおもちゃ箱の拡張版だと思う。 ペパーミントグリーンがピンクにとって変わっただけ。 ピンクパパと呼ばれる日もそう遠くはない。 

父の教訓① 子供からもらったものは大切に押し入れに保管しよう。

column by 畠井武雄/Hatai Takeo
アートディレクター、アニメーションディレクター、ウェブデザイナー、いろんな顔を持つ虹色クリエーター。(特にピンク)
2000年渡仏。2003年 コンピュータグラフィクススタジオ Le pivot (ルピヴォ)設立
キャラクターアニメーション、モーションデザインなどに特化し、独自の愛らしい世界観を確立している
2011年、新部門である、p-2-i (ピーツーアイ)をスタート
Le pivot の持つ映像技術と、ウェブ、モバイルテクノロジーの融合を可能にし、

温かみのあるインタラクトコミュニケーションを多岐に渡り展開する
http://lepivot.com

Artistes Solidaires avec le Japon -東日本の震災チャリティー

3/11におこりました東北関東大震災に対し、アーティストによるチャリティーイベント・展示(即売)を開催します。作家の皆様から寄せられる小品をその場で即売し、売り上げ全額をフランス赤十字へ届けます。また、ブロカント、ワークショップ、ジャズコンサートを同時開催いたします。災害を前にして救済のプロではない私たちは無力です。しかし、災害にあわれた方のために、海外に生活する私たちも各自何かできることがあるのではないかという観点から展示とイベントを主軸に、微力を承知で募金を募ることを考えました。パリにおいて様々な国の人の気持ちを繋ぐ、ひとつの契機となることを願っています。

2011年4月17日 /24日· 13:00 - 21:00   Le pivot  20, rue Oberkampf 75011 Paris, France

http://www.lepivot.com/artistessolidaires/