我が家の夏休み アムステルダム前編
さて、夏休みも終わり(とはいえ子供たちの夏休みはまだあと二週間ほども続きますが)また忙しい日常が始まりました。
今日は前回ちょっと予告したように、オランダはアムステルダムからの家族での夏休みのレポートをお伝えしたいと思います。
少し長くなりそうなので前編と後編に分けて投稿します。前半は「どこに泊まっていたか」という話です。
アパート・エクスチェンジ
ことの始まりは、仕事で知り合った、とても尊敬しているグラフィック・デザイナーの夫婦が、3年前に「バルセロナへ9ヶ月になる子供をつれて旅行したいんだけど、誰か夏休み中アパートを交換してくれる人を知らないかな?」と申し出てくれたこと。日本ではまだあまり馴染みがないと思いますが、特に子供のいる家庭では、夏休みの旅行でホテルで滞在するのは何かと不便(部屋にベビーフードを調理したりあたためたりする台所がない、おもちゃや絵本、自転車などがないなど)なので、友人同士で、あるいはインターネットの斡旋サイトなどを通じて、夏休み中に住む場所を交換するという風習が割と広まっています。もちろん、あまり良く知らない人が自分の留守の間ずっと家に滞在するということに対して心配だったり、あるいは自分の散らかった家などを見られてしまうのが恥ずかしい、という人もいるでしょうが、「ま、お互いさまだし」ということで割りきることにして一度試してしまうと、ちょっとやみつきになる面白さがあります。メリットは大きく3つ。一つにはホテル代がまるまる浮くのでとても経済的であること、もう一つは自分の家のようにいつもの食事を気兼ねなく、現地の素材を使って家族で楽しめること、そして、もっとも大きな3つ目は、旅行先で人が住んでいる住居に寝泊まりすることによって、短い間とはいえ本当にそこに住んでいるような楽しさが味わえること。特に無理して観光的散策ばかりもできない小さな子供がいる家族にとっては、「ゆっくりくつろげる家がある」ことのメリットの大きさは図りしれません。住居を交換する相手にも子供がいる場合、子供たちはいつもと違う家でまるごと全部新しいおもちゃに囲まれて、それはそれはご機嫌になること間違いなしです。
その3年前、リチャードさんとエステルさんがアパート交換を申し出てくださった夏、私たちはオランダに行く予定はなかったのですが、パリへ旅行することになっていたので(その時も、パリに住む友人宅を貸してもらいました)「私たちの家へ是非どうぞ、そしていつかアムステルダムに旅行することになったら是非泊めてくれるとうれしいです」と返事をして我が家に滞在してもらい、今年ついに私たちはオランダへ、そして3年前に私たちがお世話になったパリの家族が今年は私たちのアパートを使ってくれました。つまり、3家族で、3年越しのアパート・エクスチェンジとなりました。
私たちの住んでいるバルセロナのアパートは、子供を二人育てるにはちょっと小さめ(70平米弱)ですが、中央のカタルーニャ広場から徒歩10分、メトロだけでなく長距離列車の止まる駅のすぐそばにあって、大きな公園に続く大通りの緑を眺められ、またビーチまで直通のバスが出る停留所が玄関のすぐ目の前にあります。今回宿泊させてもらったアムステルダムの家は、中央駅からは公共交通機関を乗り継いで40分くらいの距離がありましたが、緑に囲まれたとても素敵な場所で、オフィス兼住居とはいえ180平米もの広さがあり、しかもかわいい猫!までいます。こんな風にいろいろ条件の違う住居を交換できるのも、お互いにとってとても大きなメリットです。スペインは当然夏暑いので、私たちとしては「夏休みは避暑でしょう」と思うのですが、北ヨーロッパの人たちは「夏くらい暑い場所へ行きたい」と思うらしく、そういう意味でもお互いにうれしい交換が成立するわけです。
3年前と違うのは、お互い子供が一人づつ増えて、どちらの家族も男の子が二人、という家族構成になっていたこと。これは単なる偶然ですが、その便利さったらありません。おもちゃもレゴや三輪車、乗り物類が多くて、さすが男の子、な品揃えです。(ちなみに最初はどの親も、男の子女の子別け隔てなくニュートラルなおもちゃを与えたいと思っていろいろ買い始めるのですが、だいたい2歳を超えたあたりから、ほとんどの子供たちはある一定のおもちゃに固執するようになり、そのほとんどは親がびっくりするほど典型的に男の子的な、あるいは典型的に女の子的なおもちゃなんですよね~。)何故か大人には一見どのレゴも木の電車も同じように見えますが、自分が普段気に入って遊んでいるおもちゃの、ちょっとディテールが違うものがたくさん置いてあるというのは子供たちにはもうたまらないようです。毎朝、「さあ、今日はアムステルダムへ船に乗りに行こう!」などと言って子供たちに出かける支度をさせようとしても、「え~今日はここでずっとおもちゃと猫で遊んでいようよ~!」と反論されてしまうくらいの喜びようでした。
読者のみなさんの中にこのアパート交換の制度に興味がある人がいたら、インターネットで斡旋しているサイト検索してみるのももちろんいいのですが、是非最初は自分の知り合いやお友達と交換してみることをお勧めします。昔の同僚、留学した友達などなど、意外と探せば居るものですし、外国だけでなく、同じ国内で違う地方に住んでいる人同士で交換しても楽しいものです。また、私たちも是非今後もまたこの方法で旅行してみたいと思っているので、この記事を呼んでくださった方の中でいつか夏休みをバルセロナで過ごしたいと思っていらっしゃる方がいらっしゃいましたら連絡してください。ちなみにヨーロッパならスウェーデン、ポーランド、デンマーク、アメリカならニューヨークとカリフォルニア希望です。もちろんそれ以外の地域の方でも大歓迎です!
では次回の後半はいよいよオランダのおすすめスポットのお話をしたいと思います。
ではみなさん、トッツイーンズ(またね)!
Column by Tomoko SAKAMOTO
建築とデザインの出版社Actarにて編集の仕事をしながら
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに
5歳の温(おん)と2歳のイウ、の二人の男の子を育てています。
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Akiko Ono (月曜日, 12 9月 2011 05:48)
こんにちは、初めてお便りさせて頂きます。いつも楽しく記事を読ませてもらっています。アパート交換制度家族持ちには最高ですよね。たまたま私たちもいつかやってみたいと思っていたところでした。特にバルセロナは我々夫婦(建築関係のランドスケープデザインをしています)の絶対に行きたいねと話している1、2に入る都市なので、記事を読んで居たたまれずご連絡さし上げる次第です。私たちはアメリカ、サンフランシスコに住んでいます。夫はアメリカ人で、もうすぐ3歳になる男の子と6ヶ月の女の子のいる4人家族で、1900初頭に建てられた、所謂 サンフランシスコのビクトリアンのフラットに住んでいます。もしもサンフランシスコに興味があればぜひぜひご連絡ください。交通の比較的便利のいい場所に住んでいます。サンフランシスコの夏は霧が深くて寒いくらいなのですが、避暑にはもってこいです。また海も山も近くて子供たちの遊びにはことかかないと思います。これからも記事をたのしみにしています。
Tomoko Sakamoto (水曜日, 14 9月 2011 23:33)
コメントありがとうございます!建築関係のランドスケープデザイナーをされているのですか!ちょっとびっくりしました。私はバルセロナに拠点を置くActarという出版社で建築のエディターを、夫は同じ出版社でグラフィックデザイナーをしています。なんだかいろいろ楽しい共通の話題がありそうです。素敵なオファーありがとうございます!来年以降是非家族で検討させてください!下の子が1歳半になるくらいまでは子育ても本当にてんてこまいだと思いますが、過ぎると本当にあっという間でなつかしくて切なくなってしまうくらいなので(本当に二人が一緒に遊ぶようになるとびっくりするくらい楽になりますよ〜)、どうか頑張って下さいね!応援メッセージとても励みになります。ありがとうございました。