5月初旬のある日、雨続きのイングランドを抜け出して
日帰りでウェールズへ行ってきました。
平坦な地が続くイングランドと違い
(イギリスでは山をほとんど見かけません?!)
ウェールズの見所はなんといっても山々や渓谷、丘。
自然の中を自由に行き交う野生の動物達、
力強い岩にしぶきをあげる湧き水、
フカフカのカーペットのような贅沢な苔、
黄金色にそまる草や木の葉、
心地好い風と光、音、フレッシュな匂い。
そこら中に宝物が溢れていました!
大自然を教材に学生達が腰まで水に浸かりながら
洞窟の中を探検するCavingと呼ばれる課外授業に取り組んでいましたよ!
ゴロゴロの岩で滑りそうになりながらも
小川をバシャバシャ超えてひたすら先へと進みます。
1時間程歩いてようやく辿り着いた壮大な滝。
轟々と流れ落ちるその大迫力の自然の力を全身に浴びながら
岩場でしばしの休憩。
湖水地方の名産のお菓子MINT CAKEを齧ってスッキリとエネルギー補給です。
ただひたすら道なき自然の中を歩く、
そういう時間がどれほど贅沢で、心が踊るような喜びに包まれるか。
苔や湧き水、木漏れ日を見ては
「こういう光景をわたしは良く知っているなぁ」
と、ふと思いました。
幼い頃に父がよく山歩きへ連れて行ってくれた事、
その時々でどんな道を歩き、湧き水がどれほど冷たかったか、
そしてどんな木の実を採ったかというような、
とてもとても細かいディテールまで、
ふいに走馬灯のように思い出したのです。
現在は癌の病床に伏しており外出する事もままならない父。
お互いの勝手な性格も災いしてか、10代20代へと成長するにつれ、
だんだん交わす言葉も少なくなったわたしと父ですが、
ウェールズのこの自然の中に包まれて、
長い事思い出しもしなかった輝くような記憶がどんどん蘇ってきたのは
驚くべき事でした。
お猿の子のように岩場も小川もなんのその、
逞しく楽しそうにひょいひょいと進む我が息子を眺めながら、
かつて父がわたしに与えてくれたようなこの輝く美しい世界の記憶を
今度はわたしたちが息子にたくさん与えてあげる事が出来ればと、そう思いました。
慌ただしい日常生活に戻っても、
心に自然の美しさの記憶がある限り、
自分の道をしっかり歩いていけるのではないでしょうか。
ウェールズの旅でまたひとつ素晴らしい思い出ができました!
column by Masae Lamsdale/ラムズデール 昌栄
グラフィックデザイナー/1973年広島県生まれ
都内デザイン事務所勤務を経て、2000年より独立
夫と4歳になる息子、蒼一郎(そういちろう)とイギリス在住
ヴィンテージのデザインやタイポグラフィ、家具が好きで
グッドデザインに基づいたバイイング活動も始動中
James.UKにてイギリスパッケージデザインとヴィンテージプロダクトを紹介中
http://www.masaelamsdale.com/
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まさみ (月曜日, 25 6月 2012 11:02)
イギリスの田舎はいいですね。ミントケーキ食べてみたいです。