-004.イギリス文化を支える貴族

日曜日の昼下がり、地元の大変興味深いチャリティイベントに参加してきました。
イギリス人の友人から「週末に貴族のお屋敷の敷地内でイベントがあるの。
個人のお宅だけど彼等の庭には鹿や孔雀がいたり本物の蒸気機関車が走っているのよ!」
と聞かされ、果たしてそんなスケールのお宅が実在するのかとんと見当もつかず、
半信半疑のままとりあえず当日その場所へ行ってみました。

丘のまたその上にあるという、隠れた邸宅に行くために緑のトンネルをしばらく走り抜けると、
現れた広大な敷地に数えきれない程のクラッシックカーが悠然と出迎えてくれました。
中には今ではロンドンですらめったに見る事がないヴィンテージのダブルデッカーバスまでも!
敷地内はすでに大勢の人々で賑わっています。

 

ブラスバンドの演奏が人々を盛り上げ、移動式遊園地では子供達が大忙し。
モリスダンスと呼ばれるイングランドの春の到来を祝う伝統舞踊も見る事ができました。
テントの貼られたティールームでは紅茶や焼き菓子がふるまわれています。
芝生の上や藁の上に座ってピクニックを楽しむ家族や走り回る子供達。
みんな思い思いに日曜日の午後を楽しんでいます。

 

驚くべき事に個人所有の庭(庭と呼ぶのかどうかは分かりかねますが!)に友人の言う通り、

いえ想像以上に立派な石炭で動く本物の蒸気機関車が、もくもくと黒煙を上げて走っていました!
これには大人も子供も大歓声。
緩やかな丘があり、池があり、動物が悠々自適に生息する森があり、そんな幸福な景色の中を走る蒸気機関車。
まるで物語の中に迷い込んだかのようです。
この邸宅には他にも本物の車庫や踏切、駅までもありました。

車庫には趣味で収集されているのであろうヴィンテージの看板広告等がズラリ。
実際に使用されていたロンドンの駅名が並ぶ木製ボード。
至る所に驚きがいっぱい!古い物に精通したイギリス人も目を見張るコレクションの数々です。
きっとこの邸宅の主人は人をもてなし楽しませる事が心から好きな方なのでしょう。
子供も大人もお年寄りも、みんな目を輝かせて楽しんでいたとても素晴らしいイベントでした。
入場はチケット制でしたが売り上げは障害を持つ子供達のケアへと貢献されるようです。

この邸宅の主でイベントの主催者はSir William McAlpineという方で、

イギリスでも屈指の大成功を遂げているビジネスマンでもある男爵。
現在でも貴族制が残っているイギリス。
イギリスの貴族とは?
また国内でどのような存在、役割を果たしているのか?
常日頃なんとなく疑問に思ってはいましたが、このようにしてイギリス文化の一面を支え、
社会貢献しているのだという事が分かったのはとても貴重な経験でした。
季節を問わずチャリティイベントが盛んに行われているイギリス。
町に必ずあるツーリストインフォメーションで、
毎月その町で行われるイベント案内を手に入れる事ができます。
旅行ガイドブックには載っていないこのような地域に密接したイギリスの楽しみ方を、
機会があれば是非体験してみてはいかがでしょうか!

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  column by Masae Lamsdale/ラムズデール 昌栄
グラフィックデザイナー/1973年広島県生まれ
都内デザイン事務所勤務を経て、2000年より独立
夫と4歳になる息子、蒼一郎(そういちろう)とイギリス在住
ヴィンテージのデザインやタイポグラフィ、家具が好きで
グッドデザインに基づいたバイイング活動も始動中
James.UKにてイギリスパッケージデザインとヴィンテージプロダクトを紹介中
http://www.masaelamsdale.com/

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コメント: 1
  • #1

    まさみ (月曜日, 25 6月 2012 11:11)

    遊園地のなかに住んでいるみたいでいいですね。ちょっと寒そうですね。