ローマ大浴場跡で知られるバースに行ってきました。
温泉の国からやって来た身としては「お風呂に入れるならまだしもお風呂の跡を見てなんになる」と、
長らく腰が上がらなかった場所だったのはここだけの話しです。。。
ロンドン郊外の自宅から車で1時間30分程で、十分日帰りが可能だという距離感は今回初めて知った事実。
そして、ほんの1時間ちょっとでまるで外国に来たかのようにガラリと変わる風景に圧倒されました。
ロンドンの赤レンガでもない、郊外ののどかな田園風景やハチミツ色の壁でもない、
そこは壮大な石造りの帝国。
町全体が堂々としていて歴史の風が古代からゆっくり吹いてくるような、
アーチやフォルムが特徴の石造りのローマンスタイル。
ギリシアとイギリスの建築が見事にマッチしたスタイリッシュなジョージアン様式の家々。
町の空気感に馴染んでいくうちに「まるでローマに居るようだ!」という当初の印象から、
「これぞイギリスなのかもしれない」という感覚へ。
ジョージアンの長屋特有の縦長の大きな窓やシンプルなデザインがとても印象的でした。
デコラティブなヴィクトリアン建築を女性的、女王的とするならば
ジョージアン様式はマニッシュで都会的、イギリス紳士のようなとても洗練されたスタイルです。
これまで触れる機会のなかったローマ支配時代のイギリスの歴史に俄然興味が湧きました。
イギリスは時代によって建築様式が変わりますが、
それらが現代までちゃんとした形で残っており、
今でも普通に人々がその中で暮らしているという点がなによりも面白く
国の貴重な文化であり財産なのではないでしょうか。
有名なローマ大浴場跡も、例えお風呂に入れなくとも(?!)
十分に見応えのあるパワーがみなぎるような場所でした。
古代ローマ帝国時代にはこの大浴場は神殿の一部であったとか。
神殿を行き交う人々、動物達。神様でさえ居たのかもしれません。。。
そんな古代の光景にしばし思いを馳せ、ゆっくりどっしり流れるバースの時間に癒されました。
一日ですっかりこの町の虜になってしまい、思わず不動産情報で家の値段をチェックする始末。
もちろん笑える程かわいくない金額で、古代のスタイリッシュな都で暮らす夢は幻のまま終わりそうです。
最後にこの日バースで見つけた戦利品をご紹介。
タウンのチャリティーショップで見つけたイギリスヴィンテージのシックなプリントのブラウス、
地元のオタクオヤジが集まっていたコインと切手の店ではイギリスの古い切手をゲット!
そしてローマンバスお土産物屋さんで購入した誕生石のターコイズ。
良い買い物が出来、パブでは美味しいビールとカリカリサクサク中身ホクホクのチップスを堪能した事も忘れてはなりません。
世界遺産バース、大満足でした。
column by Masae Lamsdale/ラムズデール 昌栄
グラフィックデザイナー/1973年広島県生まれ
都内デザイン事務所勤務を経て、2000年より独立
夫と4歳になる息子、蒼一郎(そういちろう)とイギリス在住
ヴィンテージのデザインやタイポグラフィ、家具が好きで
グッドデザインに基づいたバイイング活動も始動中
イギリスデザイン・ヴィンテージのオンラインショップ&Stillをオープン
http://www.andstill-vintage.com/
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