岡山県新見市哲多町、故郷倉敷から電車に乗って約1時間ほどで新見に着く。
更にそこから20分ほど山に入った所にTETTAの葡萄畑がある。
今日は4月13日~14日に開催されたTETTAの新植祭の模様をスケッチしたいと思います。
美しい森と渓流と小鳥たちの囀りが聞こえてくる牧歌的な風景の中に、雨除けのビニール屋根が湖のようにキラキラと煌めいている。絶好の農作業日和だ。
石灰岩を取り尽くした跡地のような山の窪みにTETTAの葡萄畑は広がっている。
青空と山の緑と大地、そしてビニールのキラキラがコントラストを成す、とても清々しい風景だ。
新見の主産業は石灰業で、この辺りは、まさに石灰質の山肌が多く見られ、地中には石灰採掘場の坑道が迷路のように張り巡らされているらしい。
そして、神秘的でドラマチックな坑道内の奥にTETTAのワインたちが眠っている。
無振動・超静音の「天然のワインカーブ」の環境を実現し、各ビンテージのワインを静寂の中、最高の状態で貯蔵している。
坑道内は通年平均12℃~15℃の温度で湿度は80%前後で安定。
そして、何より、石灰質の土壌はまさに葡萄の育成に最適な環境。ここ哲多町は、日本のブルゴーニュとも言われるくらいワインの名産地でもあるのだ。
新植祭は葡萄の苗の植え方の説明から始まった。
植えるのは接木されたシャルドネの苗だ。
接ぎ目の部分を地面から約10センチほど浮かせて根を埋める。
根のある方を台木といい、地場に適した種を使い水分や養分を接ぎ穂に与える。
そして、土壌に含まれる様々な菌からシャルドネを守る。
土壌は強い石灰質で、まさに石灰石の塊でできたような土質。
水を遣ると石灰が程よく溶けて苗にとって抜群の栄養分になるらしい。
根を埋めたら、その表面に栄養と太陽熱を取る石灰石をばら撒いて終了。
ここから、約2~3年間かけて葡萄が実るまでに育ち、それから、数十年に渡り実を付け続ける。
そして、毎年、収穫されたシャルドネはワイナリーで熟成され、あの石灰の坑道で静かに眠り、最後にはとても美味しいTETTAワインとなり僕たちの食卓で生き返る。
この、新植祭はそんなワインの苗を植える重要な作業。
目標は2日間で約2700本植えることだ。
ワインが出来上がるまでの長い時間のストーリーをイメージに描きながら、汗をかく。
そして、しっかりと根づくように根を広げながら土をかぶせる。なかなか気持ちいい。
「多くのお酒は醸造業だけど、ワインづくりは農業なんです。」
TETTAの方が面白いことを言った。
確かに、世界のワインのラベルには葡萄畑と葡萄の品種が書かれており、葡萄の名産地がそのままワイナリーになっているケースが多い。
このTETTAのオーナーは、これから皆でワイナリーをこの地に造ってゆく、という夢を持っている。
そして、その夢を応援する人々が、この新植祭に集まっている。
みんなとてもいい顔をしているし、幸せで楽しそうだ。
僕はと言えば、昼食の時間に出される地元の千屋牛やTETTAワインですっかりいい気持ちになり、ここで出会った人々との会話を楽しみ、関係を熟成させ始めている。
実は、この新植祭で自分にとって驚くべきことが起きた。
会うはずのない、京都に住んでいた頃の友人に、なんと25年ぶりにここで再会したのだ。
しかも、お互いに居場所が分からず同志だった。
お互い大人げなく大声を上げ、再会を喜び合った。ありえない…
もちろんTETTAのワインで再会を祝して乾杯した。
実は、前にもTETTAを通じて素晴らしい人たちとの素敵な出会いや再会が生まれている。
ここTETTAは、人々を繋ぐ、なんとも不思議な磁力を持っているようだ。
地元岡山から、このような素晴らしいワイナリーが生まれようとしているのを誇りに思う。
そして間違いなく、僕は、哲多に酔ってしまっている。
info:TETTA
ご興味の有る方はコチラを。WEBサイトから美味しいワインや干し葡萄等も注文できます。
http://www.tetta.jp
https://www.facebook.com/pages/TETTA-Co-Ltd/226955180648749
column by 梶谷拓生/Takusei
KAJITANI
エクスペリエンスデザインを仕事にしてます
技術やデザインやヒトを融合して新しい体験やサービスを創りだす仕事です
サッカーをこよなく愛し、今も地元チームのミッドフィールダーとして活動中
サッカー好きな長男、音楽好きの長女を持つパパでもあります
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