バラの花を贈るという週間はこの伝説から来ているのですが、いままで「本を贈る」のはどうしてなのだろうと思っていました。まあ、伝説だから、読み聞か せ、本、というつながりなのだろうと勝手に納得していたのですが、2年生の温が、「セルバンテスの死んだ日なんだって」と学校で習ったその由来を教えてく れました。なるほど〜それで本なのか〜。そして温のクラスでは、セルバンテスのドン・キホーテの絵本をクラスのみんなでワン・シーンづつ描いて作りまし た。あんな長い話!とそのレベルにびっくりしましたが、いろいろなバージョンがあるのですね。しかもドン・キホーテの話は基本的に愉快なので子供達ももち ろん大好きになってしまうのだそう。みんなで作った一冊の絵本、本当に素敵でした。
そしてそのサンジョルディの日の一週間ほど前に、毎年恒例なのですが、バルセロナの文化センターCCCBで「Mon Llibre」という子供のための本のイベントがあったので、行ってきました。思えば二年前のこの日、五味太郎さんのワークショップをはじめこのイベントの撮影に来ていたショコラ・パパと出会い、このコラムを書くきっかけとなったのでした。このイベントのメインはもちろん絵本をたっっくさん子供達に読んでもらうことですが、その他大人と子供による読み聞かせ会、人形劇、映画上映会、手作りドラゴンなどのワークショップなど楽しい企画が盛り沢山!ちょっと風変わりな所では、こんな風に太陽光発電で動くロボットが会場を歩き回っていて、地面に塩で物語を書いています。とてもゆっくり、とても丁寧に。そしてしばらくすると風が吹いたり子供達がその上を歩いたりして文字が消えていくのも素敵です。
サンジョルディの前日22日には、学校でも読み聞かせの会がありました。2,3年前、長男の温が3歳クラスだったときは普通の読み聞かせだったのですがだんだん演劇の方が面白いということになり、今年は、こちらのママたちに協力してもらって、イウの3歳児クラスのみんなに、日本の絵本のクラシック、「ぐりとぐら」をカタルーニャ語に翻訳し、演劇もつけてもらって読むことになりました。たまたまデンマークから遊びに来てくれていた大学時代の親友とその息子のフランシス君も観客に加わってもらって子供達も大喜び。読み聞かせとはいえ子供達も黙って聞いてはいませんから、動物たちがカステラを食べるシーンではみんなでカステラをガツガツ食べるまねをしたり、最後に卵の殻で何を作ったと思う?とクイズを出したら、沢山の子供達がハイハイと手を上げて「卵!」「ロ ケット!」「わかんない!(笑)」と参加してくれました。イウと同じ学年で隣のクラスの日本人、うみちゃんも、後で「この絵本わたしも持ってるよ!」とちょっと嬉しそうに教えてくれました。
そして、この頃、6歳、一年生以上の子供達は、お話や詩を作る練習も始めます。二年生の温はA4の紙二枚程度の話ですが、アイディアを考え話を盛り上げて、起承転結をつけてみんなの前で読むのですから、なかなか緊張します。温は「迷路の惑星」という大好きなテーマを2つくっつけたお話を作りましたが (笑)、Jocs Floral(花の遊び)と呼ばれるこのイベント、その後クラスで最も人気のあったお話は学校全体で朗読会をして、さらにその中でも優秀な作品は地区大会、バルセロナ大会へと進んでいくのだそうです。お話を読むだけでなく小さい子供達も参加できるよう歌も歌ってコンサート形式にして親たちにも披露してくれました。みんなよく頑張った、本当にすごい!
最後はいつものように本屋さんに寄って、みんなで好きな本を選んで買います。「すてきな三にんぐみ」でおなじみのトミー・ウンゲラーの石油を掘り当てる楽しいぶた家族の話(昔々の絵本です)、大好きなオリバー・ジェファーの卵くんたちの話、紙のロボットを工作する絵本、乗り物図鑑などなど。子供達からは学校で作った紙やねんどのバラを、夫からも本物のバラを一輪もらって!今年も楽しいうれしいサンジョルディが終わりました。来年も、またたくさん絵本を読もうね!
Column by Tomoko SAKAMOTO
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
ブック・デザインとその周辺を手がけるSPREAD(www.spread.eu.com)
というスタジオを主催する編集者・ママのコラムです
コメントをお書きください