7年前の渡英間もない頃は全てが目新しく慣れない事の連続でした。
なかでも当時の私にとって、まさに青天の霹靂!目から鱗!だった出来事を
今日はお話しようと思います。
ある日のこと、狭い歩道を歩いていると後ろから人がぐんぐん近づいてくる気配。
私は一生懸命に歩調を早め背後の人と距離をおこうとしましたが
後ろの人は空気を読む事もなく、ますます歩調を早めぴったり後につく感じ。
急かされ追い立てられるような威圧感を背中に感じ、
私は内心かなりイライラしていました。
そしてついに観念して足を止め、むっとしながら振り向き
無言で背後の人を先に行かせようとしたのです。
そんな私の心情とはうらはらに、その人はなんと思わぬニッコリ笑顔で
「Thank you!」と爽やかに言ってのけたのです。
これには本当に深い意味でのカルチャーショックを受けました。
その感じの良い笑顔に、つい先ほどまで相手に対してイライラMAXだった私の心は
完全に動揺してしまったものです。
私が道を譲ってもらう立場なら、間違いなく「すみません=Sorry」と言っていたことでしょう。
「すみません」と相手に言われて道を譲ったならば
恐らく私の心はむっとしたままだったことでしょう。
しかし笑顔で「Thank you!」と言われた瞬間に私の心はフワリと軽くなり
とても暖かい気持ちになりました。
その後何度も同じようなシチュエーションに出くわしましたが
私ももう背後に迫って来る感じにもイライラする事もなく
笑顔で「After You!=お先にどうぞ!」と道を譲るように。
そして譲られた人も必ず笑顔で「Thank you!」と言ってくれます。
日本人は謙虚さを美徳とする文化。勿論すばらしい事だと思います。
私も小さな頃からずっとずっと「謙虚さ」を教えられて生きて来ました。
しかしこの年になってその「謙虚さ」というものが
時に「自己肯定感の低さ」というような現象を引き起こしている事に気づき始めました。
例えば人から何かをいただいた時、してもらった時、
「すみません」と言っていませんか?
レストランでお茶やおしぼりを出されて「すみません」と言っていませんか?
「すみません」はとても便利な言葉で色々なシーンで使用できますが
本来は「謝っても謝ってもすむことではない」という「断り」の意味なのだそう。。。
すみません。すみません。と言いながら生きるよりも時には笑顔で「ありがとう!」
そう言える生き方が出来れば、自分も嬉しく言われた相手もハッピーな気持ちに。
「ありがとう」がスムーズに口から出るようになれば
人生がどれほど堂々として明るくシャンとする事でしょうか!
ちなみにこちらの幼稚園では言葉を喋り始める子供に対し、まず歌とともに
「Please」と「Thank You」という二つの言葉を徹底的に教えます。
とても愛のある教育方法だなと思います。
笑顔で心を込めて「Thank you」。
自分に自信をもって。堂々と。
「Sorry」よりも「Thank you!」
そういう心意気で人生好転させていきたいものです。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
&Stillで展開中のイギリスヴィンテージの本や紙素材、
アンティークレースなどを使用したコラージュアートカード。
今回のコラム用に思いを込め『Thank youカード』を制作しました。
※尚、&Stillコラージュアートカードの一部は東京渋谷区にあるセレクトショップ
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column by Masae Lamsdale/ラムズデール 昌栄
グラフィックデザイナー/1973年広島県生まれ
都内デザイン事務所勤務を経て、2000年より独立
夫と5歳になる息子、蒼一郎(そういちろう)とイギリス在住
ヴィンテージのデザインやタイポグラフィ、家具が好きで
グッドデザインに基づいたバイイング活動も始動中
イギリスデザイン・ヴィンテージのオンラインショップ&Stillをオープン
http://www.andstill-vintage.com/
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