ⓒ Yayoi Arimoto
東北の伝統芸能を半年に渡って撮影する機会に恵まれ、昨年の秋から冬にかけて三陸海岸沿岸地域に度々脚を運びました。東京生まれ東京育ちの私から見るとこの地域では古くから伝わる芸能が若い世代の人々にもしっかり浸透しているように見えますが、東日本大震災の後、伝統芸能をここで絶やしてはいけないぞという思いが強くなったと土地の人々から聞きました。彼等が披露する優美な舞やグルーヴ感満点のお囃子は、明るく生きようと溢れ出る生命力に満ちていて見るものの心と身体に強く響き伝わってきます。私などはすっかり舞い手のエネルギーに気持ちを奪われて思いがけず涙してしまったほど。その勇姿は堂々たるもので、日本男子が最高にカッコよく見える瞬間とも言えるでしょう。お洒落なパリジャンにもこのときばかりはひけをとりません。
釜石市の笹山さんの主催で行われている奈奈子祭で、岩手県釜石、大槌の地域に古くから伝わる虎舞(とらまい)の小さくて逞しい舞手に出会いました。舞を見ている最中は乱舞する虎の大きな動きの迫力に圧倒されたのですが、最後に面を外した時、こんなに可愛いらしいちびっ子が出てきてびっくり。小雪降りしきる中、大きな仲間たちに混じって堂々と立派な演技を見せてくれた日向くんはまだ6歳!おむつがとれないころから虎舞が大好きで舞っているのだそう。みんなに大きな拍手とおひねりをもらってとっても嬉しそうでした。
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