あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
さて、今日のコラムは、今、日本でちょっとしたブームになっている地方芸術祭の先駆けである「瀬戸内芸術祭」
について描きたいと思います。昨年の秋に訪れた時の内容になってますので、ちょっと季節外れになりますがご容赦ください。
「瀬戸内海」は私の故郷・岡山に面した、小さい頃から慣れ親しんだ場所。夏の海水浴、小学校の海の学校、海釣り、そして夏休みに父の実家・愛媛県までクルマで向かう際にフェリーで必ず渡る海、懐かしい思い出が一杯詰まった、静かで美しい海です。
目的地である直島は、これまで何度となく訪れている場所ですが、芸術祭の時期に行くのは初めて。宇野港には、多くの若い観光客で溢れ、外国人ファミリーも目立ちます。自分が小さい頃に慣れ親しんだ瀬戸内海が、こんな観光地になるなどとは、全くイメージしてなかったので、とても不思議な気分です。
宇野港からフェリーが出航。甲板で気持ちよい潮風にあたりながら、瀬戸内海の島々が入れ替わるように現れるのを眺める。昼下がりの晩夏の爽やかな陽射しを浴びた、静かな海の景色にしばしの保養。東京で、こんなに島々が静かで穏やかな海は、なかなかない。
景色を見ていると、いろいろなことが頭に浮かびます。故郷とは不思議なもので離れてみて、また新たな気持ちで訪れてから、改めてその魅力と大切さが染み渡ります。自然と時間と空気、そして時折、聞こえてくる岡山弁の会話が和やかな気持ちにさせてくれます。そのイントネーションが呑気で明るく、無垢な感じなのは、やはり、いいなぁと実感。そして、良く知っていると思っていた海が、こんなに美しくて気持ち良い海だったとは。
フェリーの甲板で瀬戸内海の潮風に吹かれながら、ちょっとしたタイムマシン気分のまま直島に到着。早速、直島の民家の小径をドライブしながら、昨年、完成したばかりのANDO MUSEUM(建築家・安藤忠雄氏の作品を展示したミュージアム)を訪れ、民家のなかにコンクリートで大胆に再構築された大胆な空間に感動したり、地中美術館の脇にあるクロード・モネの「蓮池」をモチーフにした小さな池を愉しんだり、「洞窟のような美術館」をテーマにした李禹煥美術館のユニークな建築とアートを堪能しました。
直島のアートに触れると、自分のなかの「瀬戸内海」のイメージが違うもののように奇麗に整理され、美しく刷新されてゆきます。「瀬戸内海」という自然の原石を、こうやって光らせるクリエイターの視座の高さとパワーに静かな感動を覚えます。とはいいながらも、やはり慣れ親しんだありのままの自然、海、波、夕陽などのパワーは大きく、それに触れることで心の殻がほどけ、心が洗われる感覚もあります。
そんなアートと自然のパワーが交錯する秋の瀬戸内芸術祭を後に、改めて岡山県人であることを再認識する小旅行でした。
column by 梶谷拓生/Takusei
KAJITANI
エクスペリエンスデザインを仕事にしてます
技術やデザインやヒトを融合して新しい体験やサービスを創りだす仕事です
サッカーをこよなく愛し、今も地元チームのミッドフィールダーとして活動中
サッカー好きな長男、音楽好きの長女を持つパパでもあります
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はるこ (水曜日, 29 1月 2014 14:05)
岡山県津山市出身です。もう40年もミュンヘンに住んでいますが、なつかしい、、すばらしい瀬戸内海♡
梶谷拓生 (日曜日, 30 3月 2014 16:48)
はるこさん、コメントありがとうございます。
瀬戸内海、毎年、徐々に進化しております。
ミュンヘンにお住まいなんですね。
ミュンヘンには1度だけいったことが有りますが、ビールがおいしく、アートや文化も豊富な、素晴らしい場所でした。
また、訪れたい街です。
鳥越(篠田)亜矢 (火曜日, 03 6月 2014 16:07)
拓生君、お久しぶりです。小中高と同級生の篠田です。原田和明君から拓生君のことを聞いて、検索したら、ここにたどり着きました。
直島のことが書いてあったので、コメントします。ご存知かもしれませんが、直島では夏に「直島の火祭り」という花火大会があります。海上からの打ち上げ花火で、海岸には直島小学校の生徒が作った行燈が並びます。ここ数年毎年わたしはその行燈造りの指導に直島小学校に行っています。そして火祭りのポスターは私の夫がデザインしています。(直島にしか貼られませんが…)もし、今年の火祭りを見に行かれるならば、ポスターと行燈にも目を向けてみてください。それでは!
梶谷拓生 (水曜日, 04 6月 2014 01:28)
篠田さん!、お久しぶりです。コラムを読んで頂いて嬉しいです。
「直島の火まつり」のポスター、ウゥブサイトで見ましたよ。
迫力ある、直島のエネルギーが漲るポスターですね!
私は行ったことがないですが、ぜひ、行ってみたいと思いました。
夜は真っ暗になる場所なので、さぞかし花火の迫力が引き立つんだろうなぁと想像してます。
その際には、行燈も情緒ある海岸になってるんでしょうね。
ぜひ、その活動、私が見に行くまで、ずっと続けていてくださいね(笑)。ではでは。