温の大冒険と家族の夏休み
こんにちは。
今年の夏休み、いつものように家族でプッチェルダの山で過ごしただけでなく、もうすぐ9歳になる長男の温が大冒険をしました。
ことのはじめは、学校で仲良しのイッツィの、ドイツ人おじいちゃんは昔からのアマチュア登山家で、今年こそは孫を連れてトレッキングに行くぞと意気込んでいたのですが、話を持ちかけてみたらイッツィはそのコースの大変そうなこと、めんどくさそうなこと、疲れそうなこと、を理由にどうしても行きたくない!と断ろうとして家族で議論になったのだそう。で、最終的にイッツィはおじいちゃんに、「友達を一人連れて行っていいなら行ってもいい」という条件を出し、それ
で温に白羽の矢が立ったのでした。
私達家族は、キノコ狩りやサイクリングは好きですが、ハイキング 程度ならともかく登山らしき登山はイウがまだ小さいこともありしたことがありません。同級生とはいえ温より頭1つ分以上も大きいイッツィとその家族に本当についていけるのかしら?でもおじいちゃんと子供の組み合わせだし、きっとそんなに激しいコースは歩かないだろう、などと心配と期待と入り混じった気持ち
で一週間の旅に送り出したのでした。
そして温がいない数日の間、イウははじめての「一人っ子」生活に突入です。いっつもケンカしている競争相手がいなくなり、最初は両親の注目を一度に浴びられる嬉しさになかなか満足そう
でしたが、三日もしないうちに「ねえ、温はいつ帰ってくるの?」と何度となく質問するように。でも、「寂しいの?早く帰ってきて欲しい?」と聞くと「ううん、そうじゃないんだけど」とあくまで一人っ子生活は維持したい風を装っています。しかも「帰ってきたら見えるように、「おかえりカード」でも作って壁に
貼っておこうよ」などとカウントダウンを盛り上げるべく話しかけてみるのですが、「いやだ。別に温が帰ってくるの楽しみじゃないもん」の一点張り。ところが5日目くらいに従兄弟たちと一緒にご飯を食べに行った頃には目に見えて元気がなくなり、食欲もないし遊びにも行きたがらないし、熱でもあるのかしら、と周りが心配するくらいのふて腐りよう、やっぱりどうやら原因は兄の不在、話し相手の不在、エネルギーのはけ口の不在、だったみたいです(笑)。
イウにとって兄との久しぶりの再会は、別に抱擁も涙も、笑顔すらほとんどなかったのですが、彼の元気の回復ぶりにはびっくり。トムとジェリーも、多分どっちかがいなくなったらこんな風なのかな~と思うような出来事でした。
温は大きな怪我も辛いこともなく、でも黒く、かすり傷と虫さされだらけになって(つまり見た目はけっこうたくましくなって)無事、私達のところに帰ってきました。どうだった?大変だった?と聞いたら、「ううん、でも最後の日、12時間歩いたから疲れた」ってすごい大変だったんじゃん!!なコメントが。12時間はさすがに誇張でしょうと思ったのだけれど、この光景の中を、数時間登り、下りはロープウェイを想定していたのですが乗ることが出来ずさらに数時間下ったらしいので、本当にヘトヘトになったはず。毎日違う山小屋で別の人達と寝食を共にし、テレビもおやつもないサバイバル生活を体験してなんだかこころなしか人が変わったような気さえします。
あとから送ってもらった写真を見たら、200もの湖があちこちに点在する2500メートル級の高地への登山、その景色のあまりの美しさに、私達もいつか一緒に行こうね!と思いました。
ちなみにそのイッツィのおじいちゃんはスペイン語やカタルーニャ語が話せず、温はドイツ語が話せないので、9歳のイッツィがこの冒険の命綱だったようです。 毎晩UNOのカードゲームをやって、決まり文句「UNO、最後の一枚!」など、日常でぜんぜん使えない(笑)ドイツ語のフレーズを覚えて帰ってきたのでし た。
夏休みの長さはいつも悩みの種ですが、いろいろな家族とも話して、なかなか興味深い結論にたどり着きました。夏休み中は、もちろんいろいろなイベントを企画して楽しむことも良いのですが、何かにつけて子供たちにできるだけ「たいくつさせること、そしてその中で自分で遊びを見つけること」をうながしてあげることが大事だということです。退屈の中で見つける遊びは、アリの行進の観察でも、紙で作ったおはじきでも、でもな~んでもいいのです。うちの子達は、プッチェルダの町の階段の手すりで発見した、この遊びにすっかり夢中になりました。見ていてけっこうハラハラしましたが(2回ほど落ちてしりもちをついていたし)通りがかった周りの子供たちも巻き込んで、自分たちで作った公園みたいに自慢気にしています。こういうの、
ティーンになってしまうとあまりないかもしれないなあと思い、今のうちに子供たちとたっっっくさん一緒に遊んでおこうという気持ちを新たにするのでした。
ではまた次回まで、ごきげんよう!
Column by Tomoko SAKAMOTO
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
ブック・デザインとその周辺を手がけるSPREAD(www.spread.eu.com)
というスタジオを主催する編集者・ママのコラムです
「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに二人の男の子を育てています
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さなえ (木曜日, 11 9月 2014 21:25)
ともちゃん
ブログへのコメントは初めて♪
うちのキッズも今年は似たような(?)状況だったし、ドイツ人つながりと言うことで~
うちも長男が3週間日本に行き、次男は一人っ子気分を満喫。
しかも反応がイウくんと同じような感じだったの!!
温くんが言ってる最後の1枚はレッツテカーテ!かな?
いつかともちゃんBrosとうちのBrosが会えたら楽しそうね♪
最後の段落、まさにその通りなんだよね~。
Chocolatpapa (金曜日, 12 9月 2014 00:25)
今日はカタルニアの独立のマニフェスタションだったんですね。3年振りにお会いした温くん覚えていてくれたかな?
トモコ (金曜日, 26 9月 2014 21:46)
>さなえさん!読んでくれてどうもありがとう!そうそう、「ウノ!レッツテカーテ!」でした(笑)。これ、ドイツ語で、どうやって書くか知っていたら是非教えて!ぜひ兄弟で会わせたいね。これからもよろしく!
>Chocolatpapa、次回のコラムにちょっとこの日の事も触れました。子供たちは、ベビースター、けっこう美味しそうにずっと食べていましたよ〜。ありがとう!