みなさん今日は。
今回の投稿は、実はテロの翌日の出来事です。
一日中、人に会う度にみなパリの話をしていましたが、
たくさんのやるせない気持ちを抱えつつ、今日の日常と、子供たちの笑顔にあらためて感謝。
こんな時だからこそ、いつもの時間を、より一層丁寧に慈しみたいという気持ちを込めて、
いつものような投稿をすることにしました。
テロの被害者とその家族の皆さんに心からのお悔やみを申し上げます。
それでも世界中の子供たちが憎しみではなく愛を感じられるような明日を、みんなの手で作っていけますように。
もう11月だというのに本当に暖かかった週末の土曜日、子供たちとその友達と、男の子たちばっかりで、MOB(Makers of Barcelona)のWe Make'15というメイカーズ・フェスティバルへ行ってきました。MOBは何かを作りたい人がたくさんあつまり、イベントや会議なども出来るシェアオ フィスの巨大なスペースで、私が仕事で良く行く場所の一つでもありますが、「We don’t
work, we make」とうたうだけあって本当にいつ来てもみんな真剣に遊んでいるので、子供たちと一緒に来ても楽しいバルセロナのおすすめスポットの一つ。このフェ
スティバルには以前も家族で来ましたが、彼らの普段の活動を、そしてもっとグローバルにメイカーズ・スピリッツのようなものを、近所の、あるいはバルセロナの人たちに知ってもらうためのパーティーみたいなものです。彼らの拠点、MOBのスペースも相当広いのですが、本当に誰でも入れるように、または通りがかった近所の人達が見かけずにはいられないように、MOBの前の車道を市の許可を得て一日だけ「1ブロック分塞いで」のイベント。
前年も家族で来て、レーザーカッターや3Dプリンターを見たり自分たちで何かを作ったり、なにやらインタラクティヴな実験装置を作ろうとしているエンジニア
やデザイナー達に、テクノロジーと身近な素材を使ってローコストでいろんな面白い「遊び」を大人と子供に教えて貰って、それはそれは楽しかったので今回も来てみましたが、今回は工作教室的なワークショップが一層増えて、より一層チルドレン・フレンドリーかつハイテク系が苦手でスマホも持っていない近所のおじいちゃんおばあちゃんも楽しめるアットホームなイベントになっていました。
いくつか作りましたが、一番なるほど!、と思ったのがこの「手のエクステンション」ワークショップ。ダンボールとストロー、ゴムとひもを乗りでくっつけて作るだけなのですが、大人にも子供にも、ロボットの手をどうやって動かしているかということが、簡単に「分かる」のです。この場合は、表から指をひもで引っ
張る、それを裏のゴムで戻す、という二つの機構で指の動きを操作するわけなのですが、実際やってみるとその「ロボットらしさ」に驚きます。もちろん本当の
ロボットはこの「人間の手の筋肉の収縮の代替物」をいろんな方法で作っているのでもっとずっと複雑なのだと思いますが、こんなに簡単な方法でも代替できてしまうことに大人としては感動すら覚えます。ちなみにこのワークショップをデザインしたのは、ローティーンくらいの子供たちにArduinoや Scratchなどを教える教室を開いているDavid
Alcobaさんとその仲間たち。プログラミングも簡単にこなせてしまう彼だからこそ、のこの潔いローテクなセンスに脱帽です。男子系ワークショップな気 もするのですが「カラフルなストローに糸を通す作業」はアクセサリー作りにも通じるものがあるのか、女の子たちにも大人気でした。
そしてこちらは、なんと「気合で動かすレーシングカー」。簡易なヘッドギアを装着して、「集中している脳波が測定されると」と車が動くというもの。ホントかなーと思いましたが、おおはしゃぎです。最初は、「集中する」というのがうまくできなくて単にリキんでる子供たち。スターウォーズのフォース、ドラゴンボールのカメハメ波とかでそういうの、よく見てるはずなのに。結局うちの子は二人共、目の前の車に向かって「動け」と念じる代わりに、「大好きなマインク
ラフトの事を考える」などという邪道な方法で集中力を獲得し、見事車を、しかもけっこう速いスピードで動かすことが出来ました。ちなみに「子供のほうが動かせない(集中するのが難しい)」とのことでした。こんなのがホントの車に装備されたら事故が多発しそうで恐ろしいですけれどね。
今の子供たちは、ゲームにしても携帯電話の操作にしても、大人よりずっと長けているし飲み込みも早いので、TECH系の遊びを教えてあげるのが私達の世代の親にしてみるとちょっと難しいくらいなのですけれど、今年のメイカーズ・フェスティバルを見てますます思ったのは、「もうテクノロジーにはみんなあんまりびっくりしない」という前提で、どんな面白いものを作れるだろう?
という方向にみんなの興味が向かっているように見えたこと、かもしれません。「子供が喜ぶもの」を作り、ワークショップをデザインするということは、「子供だまし」ほど簡単なことではぜんぜんないのですが、大人が面白いと思うことはけっこう子供にも面白い(逆に大人が本当は面白くないと思っていることは子供にもあんまり面白くない)、「なるほど!」という嬉しさはあまり年齢に関係なくみんなで共有できるもの、それから工作でも料理でもやっぱり自分の手を使って作ったものは何物にも代えがたい、と再び実感出来て楽しかったです。子供たちと一緒に学びつつ、おばあちゃんになってもこういうイベントに参加したいなあと思った一日でした。
秋は食事に読書に運動に、何をしても楽しい季節なので引き続き家族で楽しみたいものですね。
ではみなさん、次回まで、ごきげんよう!
Column by Tomoko SAKAMOTO
カタルーニャ人でグラフィック・デザイナーのダビ・パパと一緒に
ブック・デザインとその周辺を手がけるSPREAD(www.spread.eu.com)
というスタジオを主催する編集者・ママのコラムです
「遊んであげない。一緒に遊ぼう!」をモットーに二人の男の子を育てています
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