014.茜色の空を見上げて想うこと

みなさま、ご無沙汰しております。

胸を締め付けられるようなパリの大惨事から間もなく一ヶ月が経とうとしています。

こんなに身近なところで多くの一般市民の命が奪われた衝撃の事実から、日常の不安と緊張はいまだに拭えないままですが、

今こうして生きていること、いつもの暮らしが出来る事にただただ感謝したいと想う毎日です。


ワサワサとした気持ちが続いていたある日、久しぶりに「自由の女神像」の辺りまで出かけました。

この女神像は、パリ15区と16区の間のセーヌ川に浮かぶ白鳥の島(L'île aux Cygnes)にひっそり佇んでいます。

NYにある自由の女神像は、フランスがアメリカ合衆国の独立100周年を記念して1886年に贈呈したもの、

そしてその返礼として、フランス革命100周年に当たる1889年に当時パリ在住の米国人たちが

フランスに贈ったものがこのパリの女神像です(wikipedia参照)。


この日、たそがれ時の夕陽に照らされた自由の女神像はいつもより逞しく力強く見えました。

セーヌ川の水面も赤くきらきらと波打ち、川沿いの高層ビルも燃えるようにオレンジ色に染まる。

次第に空は刻々と色を変え、茜色から深いブルー色へうつり変わる瞬間に街灯が一斉に点灯されます。

"La ville lumière"「光の都パリ」。この瞬間は1日の中で最も美しく幻想的な時。

テロ事件の犠牲者への追悼の意を込めて、エッフェル塔もトリコロールカラーにライトアップ(11月25日迄)。

この温かい色を通して平和のメッセージが世界の隅々まで届きますように。

このパリの街がこれからもずっと変わることなく輝き続けますように。


歩きながらふと気づくのです。

こんな複雑な世の中だけれど、目線を少し変えればすぐそばに安らぐ何かがいっぱいあるのだと。

空の色だったり、水溜りに映るエッフェル塔だったり、はしゃぐ子供たちの姿だったり。

暫く忘れていた事を思い出させてくれた晩秋のパリの街。

元気のかけらをたくさん抱えて帰路に着いたのでした。


最後にZAZの「Paris sera toujours Paris」(パリはずっとパリだろうさ!)の歌を聴いて締め括りです♫ 


みなさま、どうぞ楽しいクリスマスを、そして健やかな新年をお迎えください!

column by Michiko P.

日本、フランスで長年貿易の仕事に携わり
現在はフリーで通訳・マーケティングワークをしながら
新しいフィールドも模索中
暇があれば、銀塩・デジタルカメラを持ってパリを遊歩する
仏人オットと娘2人の4人暮らし