人生はたまにとても素敵なサプライズを与えてくれます。
一つは、米国留学中の息子が、サンフランシスコ・シティFCという、PDL(米国プロ育成リーグ)に所属するチームに入団した、というサプライズ。
サッカー留学ではなく、勉強のため米国留学なのですが、彼なりに色々と悩み、大学をトランスファーしながら、信頼できる友人と繋がり、現地のサッカー関係者の目に止まり、行き着いたのがこのサンフランシスコ・シティFCというプロに近いチーム。以前にコラムにも書きましたが、2006年のドイツワールドカップに一緒に行って以来、サッカーにハマり、ベルマーレ湘南、横浜FC、武南高校とサッカー一筋。大学進学時には、サッカーへの道を一旦断念し、米国留学への道を選んだものの、やり残した思いがあったのでしょう。着々と自分のサッカーへの可能性を自分なりの方法で道を見つけて行ったことに、とても驚きと喜びを覚えます。そんな息子のチームのシーズン初戦が行われるのがフレズノという米国西海岸の街。相手はフレズノFC U23という米国プロリーグUSLというプロリーグに所属するフレズノFCの下部チーム。日にちは5月5日こどもの日。
二つ目は、なんと、その日程に合わせるかのように、新たに米国西海岸での仕事が舞い込んできた、というサプライズ。
出張での仕事は5月2日〜4日@シリコンバレー。1日だけプライベートで滞在延長すれば5日の息子の試合が見ることができる、まさに願ったり叶ったり、の機会が天から降ってきたのです。
もちろん!!、見に行ってきました。
当日、サンノゼから4時間ほど高速バスに乗ってフレズノに到着、その後、Uberで移動し、少し早めにカリフォルニア州立大学フレズノ校のスタジアムに到着。アメリカン・インディアン・デイということで、こどもからおじいさんまで、美しい衣装を身にまとったインディアンたちのダンスのお祭りが開かれていました。雰囲気は、ちょうど日本の盆踊りのような感じです。
夕方の試合開始まで広大な大学の中を散策しながらのんびりとした時間を過ごしました。夕方ごろ、スタジアムに人が集まりはじまたころ、入場料を支払って入場。前座で女子リーグの試合が行われています。女子の試合もなかなか盛り上がっており、米国でのサッカーの盛り上がりを感じます。
そのうち、息子のチームが到着。
白いジャージに身を包んだ、久しぶりの息子が片手を上げながら登場。一言二言と挨拶を交わしたのち、アップを始めるのを感慨深く眺めてました。あのこどもだと思っていた息子が、長身の米国プレーヤーに混じってプレイする姿を見ながら「頼もしくなったもんだな〜
と改めて感慨深い思いが。。
そして試合開始。
残念ながら息子はベンチスタートです。一進一退のゲーム展開の中で、後半まで0−2。
そんな中、息子は、後半途中から登場してきました。ポジションは高校の時からの左サイドバック。
久しぶりにプレーを見ましたが、彼の特徴でもある切れ味あるテクニカルなプレー、左足から繰り出されるカーブのかかったアーリークロスも精度が上がっており、身体も細いながら米国人に負けない身体になっており、走力もアップしていて、なかなかなものでした。
結局、試合は0−2でそのまま負けてしまいましたが、結果に関わらず、この場所に居れたことに、なんというか、運命への感謝の思いが溢れてきました。
息子が、試合後にピッチからスタンドにいる私を見つけて「渡したいものがあるからちょっと待ってて」と声をかけてくれました。それは、東京にいる家族へのプレゼントでした。
雲ひとつない夜空にスタジアムの照明が煌煌と輝、緑のピッチの中、ベンチに向かって走る17番の背中を見ながら、彼は自分の人生を自分で切り開ける青年になったんだなぁ、と、なんとも言えない幸福感が心を満たしていくのを感じました。
「サッカーは子どもを大人にし、大人を紳士にする」 "日本サッカーの父”として知られる、故人デトマール・クラマーさんは、こんな言葉を残していますが、それを実感する、とても素敵なこどもの日になりました。
column by 梶谷拓生/Takusei
KAJITANI
エクスペリエンスデザインを仕事にしてます
技術やデザインやヒトを融合して新しい体験やサービスを創りだす仕事です
サッカーをこよなく愛し、今も地元チームのミッドフィールダーとして活動中
サッカー好きな長男、音楽好きの長女を持つパパでもあります