Family Portrait

生き物の中で生殖機能が働かなくなっても生きられるのは、人間の女性だけだそう。
では、どうして人間のおばあちゃんは生きていられるのか?
それは、人間には知恵があり、それを伝えるため。
という論文が話題です。
生命体系にも影響するほどおばあちゃんの知恵は大切な物。
chocolatmagは、そんな関係にも視点をあてていけたら。
このファミリーポートレイトはできるだけ親子3代で撮り下ろしたいと考えました。

 

ジェレミーのママン、リリアンにインタビューです。

-002.SANNA JEREMY LILIANE

photo©manabu MATSUNAGA   

 

化粧品のマーケッティングやパッケージデザインなどの仕事を経て、引退。

今は”ZONE D'EFFORT”にいるの。と美しく微笑む。

そこは、嫌なことやめんどくさいことを「NON」と言える環境なの。それってとても贅沢でしょ? 

とLiliane Barrois(リリアン・バロア)

2年前から始めた風水では逆に人の人生に入っていくので、いろいろと興味深いことも体験中だと言う。

そんな、キラキラと人生を歩んでいるリリアンの子育て、孫との関わりをお聞きしました。

 

”決まりは守る”もしそれに背くなら、人に心配をさせない、害をあたえないこと!

 

ジェルミーは2歳までは髪の毛を伸ばしっぱなしだったので、お兄さんの友達から「彼女可愛いね」などと言われるぐらい。 

”自由”を意識して育ててきました。そして、自分の内なるものを表現する仕事を見つけてほしかった。

7歳から習い始めたピアノは、今でも引き続けているし、仕事にもなっている。ある意味これは投資と言って良いかもしれません。

そんな”自由教育”でも”決まりは守る”ことは必要だと考えます。

反抗期にジェルミーはどんなになるか想像もつかなかった。13歳のときに「こんばんわ、リリアン」と名前で呼ばれた。

これは、いけないことです。ちゃんと「ママン」と呼ぶように注意しました。

ジェルミーはそれが嫌でも、これは”決まり”なのです。ママンには言い訳しない。というのも大事なことだと思います。

そんなときジェルミーは、じっと私の目を見てそらさない子だった。ある意味凄みのあるこどもでした。

もし、背いたのならば、最低限でも人に心配をかけない、害をあたえないというラインは絶対に守るよう教育しました。

 

ハロウィンの時は男なのにマニキュアをするし、まるでボヘミアンみたいな自由な生活をしていた息子が、24歳でパパになる! 

というのはすごいインパクトでした。不思議にも思えました。

長女のエアがしゃべり出し「パパー」と呼んでいることも印象的でした。だって、外見ややっていることは昔と変わらないのに。

ジーパンには穴が空いているし、変な髪型をしているし。でもね、エアやルミ、この娘達が彼の中身を確実に変えたんです。

それがすごくよくわかる。とても素敵なことだと思うんです。

photo©manabu MATSUNAGA                      ▲写真をクリックすると写真が大きくなります▲

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人ときちんと知り合う努力をする。そういう人たちのことを”明日の先を行く者”と言うんですって。

 

サンナはフィンランド人。初めてのこどもを実家で生みたいと思うのはあたり前。

そして、その瞬間に近くにいたいと思う私たちがフィンランドに一緒に行くのはあたり前。

ジェルミーのおばあちゃん、ジェルミーのパパ、私、お兄さん、妹。全員でフィンランドに行きました。

 

生まれたてのエアは病室から出てくる時に、いろいろな布で蚕のようにぐるぐる巻きにされていました。

顔だけ出して。まるで小包みたいでとても可愛かった。

 

サンナには兄弟がたくさんいて、いろいろな国籍の人と結婚している。

兄はイラン人だったり、サンナ自信もフランス人のジェルミーと、とてもコスモポリタンな家族関係。

だから、相手を理解する力がとても必要なんです。

たとえば。フィンランドではサウナ文化がありますね。

みんな大自然のなかで裸になる。熱くなると裸で外に出る。樫の木の枝で体をたたく。

最初はそれすべてに抵抗があった。特に私の母は高齢だしとても嫌だったみたい。

でも、サンナが上手にお話をして、今ではサウナが大好きになりました。

こんな些細なことでも、相手を理解するにはとても良いきっかけになることもあるんです。

 

2番目の孫RUMIはパリで生まれました。

午後に生まれ、すぐに仕事を抜けて会いに行った。

サンナの片エクボのある、自分のこどもも含めていちばん綺麗な赤ちゃんだった。

夜にまた会いにいって、その帰りに雪が降り始めたの。

歩けば歩くほど雪が積もり、家に着いた頃には10cmも積もっていた。とても感動的な1日でした。

そんな日に産まれたから、RUMIはフィンランド語の”雪”という意味の名前を付けたんです。

 

私の母は84歳、ノルマンディで一人暮らしをしています。

毎週末のように孫を連れて訪ねて行き、一緒にゲームをしたり、ジャムを作ったりして過ごします。

思うに、こういう時は親たちはいらない。おばあちゃん(私)、ひいおばあちゃんと子供達の方がかえってうまくいく。

3世代の大人と子供達、というのはちょっと混乱しそうでしょ?

長いバカンスを親族で過ごすときはみんな一緒だけれど、1泊ぐらいの時はこんな感じで過ごすのが良いと思っています。


photo by Matsunaga Manabu
Interpreter by Misato Raillard
Text by chocolatmag