Study
-020.”はじめての”シリーズ第5弾!
こどもたちにとって毎日が”はじめて”の連続です。
と、”はじめて”シリーズが始まったのが3年半前。
MEI 男子、日本人、パリ在住、4歳でした。
はじめてのおかいもの / はじめてのエスパドリーユ / はじめてのヘアカット
第2弾は5歳の時。。。
はじめてのchocolat chaud / はじめてのgalette / はじめてのデート
そして、第3弾はMOEが登場。
第4弾はMOE8歳。。
しばらくはじめてのことがないなーと過ごしていたのですが、久々にMEI8歳、
”はじめての”レポート第5弾です。
はじめてのTGV
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「8歳になったらインターナショナルのコンクールに出れる。MEIの誕生日はいつ?」
と、尋ねられたのが2012年の丁度今頃。1年前です。
2012年の5月。そろそろ学年末で2ヶ月のヴァカンスもすぐ目の前。
フランスではその頃に新学期9月からの習い事の申し込みをしたり、準備をします。
学年で一番背が小さく、体も細いMEIに何かスポーツをやってもらいたかった。
サッカーやバスケットのような争う感じが苦手。
柔道や空手、格闘技はもってのほからしく。。。
積極的にではないけれど、ブラジルの腿法 Capoeira ならやってもいいかも。。とMEI。
カポエイラとは、ダンスと格闘技が一緒になったもので、パリのこどもたちにとても人気のあるスポーツです。
さっそく近所の道場へ見学に。
初級はほとんどダンスのステップを踏む感じで、リズミカル。
男の子の方が多く参加しているので、いい感じだった。
が、「ママン、なんだかこれじゃないんだよ。」
見学までこぎ着けたと言うのに!!!なんで〜!!!「じゃあ、なに? 他にやりたいことあるの?」
「”ロッシュフォールの恋人達”の最初にみんなで広場で踊るやつ」と即答。
この映画はchocolatmagのこどもたちに限らず、大人気の昔のミュージカル。
それはどう考えても”クラシックバレエ!”なのでした。
近所のバレエ教室では女の子の中で男ひとり、という状況になってしまう。
踊りたいけどそれは恥ずかしい。。。
そこで、男の子がいるスクールは、本気のスクールしかない!という結論になり、
パリの2大プライベートスクールのひとつ、TERPSICHORE に通うことになりました。
というのが、MEIがクラシックバレエを習うに至った長ーい説明。
去年の9月から始めた訳ですが、1年前からMEIがインターナショナルのコンクールに出ることは先生の中では決まっていたよう。
「賞を取れるとは思わないけれど、経験のために行かせたい」というものでした。
「はい、ではよろしくお願いします。で、何処で開かれるのですか?」
「南仏のグラース」
「遠いですね!!!」
ということで、フランスの新幹線TGVで南フランスへ向かいました!
MEI はじめてのTGVです。
▲をクリックするとスライドショーが始まります。。
パリのリヨン駅〜。
出発してほんの20分で田園風景に変わります。
カンヌまで5時間の旅。
延々続く田園風景に飽きたら食堂車へ散歩したり、2階建ての車両へ行ってみたり。
ごつごつしたピンクの山肌が現れ、マルセイユまで行くと、視界が広がります。
やっぱり海を見た時には歓声が上がる!
カンヌからはローカル線でグラースまで。
着く頃には夜になっているのでした。。。
はじめてのコンクール
ヴァカンスの終わり、8月末から始ったコンクールの2週間毎日の集中練習。
「MEIは覚えることがたくさんあるから毎日来れる限り来てほしい」と先生。
それを聞いてMEIは”ニヤリ”
友達と遊べなかったり、毎日の練習が辛いなどないのかな!?
「毎日でも踊りたいんだよ〜」というのが本音だったらしく、この集中練習は嬉しかったそう。
学校が始まり、週4日通うスケジュールとなった。
それからグラースコンクールまで練習を重ねていた。しかも楽しそうに。
南フランスのグラースという街は、夏になると一面ラベンダー畑になる香水の街。
有名香水メーカーのラボがたくさんある街。
そんなステキな街でこの大きなコンクールは毎年開かれている。
1日目:夜にホテルに到着し、さっそくコンクールの会場へ下見に。
みんなは朝から、練習をしたり、舞台の床を確認したり。
「MEIは小さいから、当日ぶっつけ本番の方があがらないと思う」という先生のアドバイスだったので、見学のみ。
明日の朝8時30分の集合!
2日目:コンクール当日。
1日目は課題曲を踊ります。
女の子も男の子もみんな同じ曲で、同じ振り付けです。
バックステージでは、こんなバーがあって各自練習。
先生のお孫さん(もう18歳)のお下がりのカシュクールを着せてもらいました。
少しだけのメイクはアイライン。
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さて本番!
最年少グループの参加は13名。
このうち10名がフィナリストとして予選を通過します。
男の子はメイだけ。
しかもまわりは幼稚園からバレエを習っている女の子ばかり。
コンクールは、踊り終わった後に拍手や歓声を上げてはいけないのです。
それは、公平な審査ができないから。ということ。
全てはじめての体験なので、全てが勉強になります。
予選の結果は、1点差で予選落ちでした。
バレエにミラクルはない。
自分より3、4年長く練習を積んできた女の子たちに敵う訳がない。
と、解っていても、やっぱりショックは隠せないMEIです。
3日目:同じスクールのフィナリストの自由曲(それぞれが選んだ曲で踊る)の踊りを見に会場へ。
言葉が少なく物静かなMEIを先生も心配して下さる。
年少組は午前中に終了。
同じスクールの年少3人組でランチ&やっぱり遊びの大好きな年頃。
このスクールを紹介して下さったHARUKOさんに励まされMEIもやっと笑った。
そして、ショックの理由は[予選落ち]ではなく[自由曲のカルメンの衣装を着て舞台で踊れなかったこと]と判明。
その理由を聞いて、ホッとするまわりの大人たちであった。
夕方に全ての審査が終わり、結果発表!
きれいな衣装を着て、名前を呼ばれた子供達は嬉しそうに前へ出る。
MEIは「韓国人の女の子がタンバリンを使った踊りをやりたい!」と思ったそう。
表彰式を見て「いいなー」と、うらやましがるMEIでなかったことに、まわりの大人たちはまたもやホッとする。
4日目:全てが終った朝。
グラースの高台にあるホテルから、その景色を改めて見渡す。
はじめて来た南フランス。
はじめて泊まった民宿。
はじめて踊った大きな舞台。
はじめて人と比べられ順番をつけられたバレエ。
はじめてがいっぱいの4日間だったけれど、MEIの心の中には不思議と”はじめての敗北感”は残らなかった。
そして、パリに向かう朝、やっぱり体が動いてしまう。
今回は踊れなかった「カルメン」を鏡の前で練習する。
この踊りはこの1年間彼の”演目”となり、1年で8、9回のコンクールに出場する予定だ。
ある偉大なアーチストが言った「前を見るしかないんだよ、それだけで良いんだMEI」
運命的に出会った先生が言った「MEIが踊りたいなら、私が絶対に踊らせる」
そんな言葉に支えられて、MEIは踊ることだけを考えている。
はじめてのコンクール。
滅多に体験できないとても素晴らしい経験、と、MEIは気付いているのだろうか?
「ここが出発点」と、いつか振り返った時に思い出せるように、ここに記録として残したい。
Chocolatpapa
photo by Matsunaga Manabu
Text by Chocolatpapa